Belsize Park(ベルサイズ・パーク)

ロンドンでの学生時代に下宿していたのはハムステッドというエリアです。ちょうど真北には、有名なハムステッド・ヒース(Hampstead Heath)があり、自転車で10分程南に行けば、これまた有名なカムデンタウン(Camden Town)があります。大学までは自転車で30分弱でした。

しかし、雨の日は自転車通学が大変なので、主にバス24番か地下鉄(Tube)のNorthern Line を使ったものです。最寄りのバス停は Southend Green という国鉄の Hampstead駅 の向かいにあり、映画やドラマでもたびたび登場する起点停留所です。このバス停から徒歩5分ほどの距離にあるのが、Belsize Park駅 で、今回のお話となります。


はじめて Belsize Park と聞いた時には、もちろんベル(bell)のような小さな公園があるものだと思っていました。 しかし、下宿の大家さんに聞いてみると、Belsize Park とは Park といっても公園があるのではなく、公園に適した緑地(Parkland)という意味だと、そして Belsize はフランス語の bel assis 「好立地・恵まれた土地」からつけられたのだよ、と教わったのです。


いずれにせよ緑の豊かな場所であり、閑で落ち着きのある場所です。ですから、自室で勉強をするにはモッテコイの場所、まさに bel assis だったのです。ちなみにかの有名な思想家・経済学者である Karl Marx(1818 – 1883)も一時期このエリアに居を構えていたこともあったとのことです。

トマトパン

今から20年ほど前のロンドンの物価はとても高いものでした。ですから、毎日外食するわけにはいきません。そのような中で、料理をいろいろと覚えていくわけですが、ほとんどがパスタで、その他は週末のローストくらいでした。さすがにパンを自分で焼くことはしませんでしたし、そもそもイギリスの学生は勉強で忙しく、パンを焼く時間などありません。それでもパンを食べたくなることもあるわけです。

そんな時に私が好んで食べていたのがトマトパンで、正式名称を”Sun Dried Tomato, Onion and Basil Sourdough” (乾燥トマト・玉ねぎとバジルのサワードゥ)といいます。

このトマトパンは「Waitrose」という日本でいうところの「成城石井」のような少しお高めのスーパーで売っていて、今でも人気のある商品のようです。
https://www.waitrose.com/ecom/products/no1-sun-dried-tomato–onion-and-basil-sourdough/832259-307270-307271

現在は3ポンドほどのお値段ですね。やはりお値段は少し高めですが、サイズは西欧サイズなので日本人なら1個買えば3~4日はもつでしょう。

2019年にロンドンを訪れた時にも無性に食べたくなり、豪華にハムも購入して、フロイト博物館の庭(写真)で美味しくいただきました。ボロボロとパンをコボされるのを嫌う博物館の人に「ダメ」と言われると思ったのですが、さすがはリビドーの流れが優れた方々、「Sure, please.」とやさしく受け入れてくれました。みなさんもロンドンに行ったら、このトマトパンをぜひともお試しください。

ロンドンのトイレ事情

私は約十年間イギリスに留学していました。留学中の生活範囲はロンドンのブルームスベリーというエリアで、そこにはロンドン大学本部(このことについては後日あらためて)とそれに付属する3~4の大学・研究所が立ち並んでいます。

そして忘れてはならないのが大英博物館(BM)で、大学エリアの南側に隣接しています。大英博物館といえばロンドンを旅行したことのある方なら、ほぼ訪れる超有名観光スポットですね。ですから、学生時代に大英博物館にはほぼ毎日訪れました。それはなにも展示品を見るためではありません。そう、トイレを使うためです。

当時のイギリスの大学は、そのほとんどが国立大学であることから予算がありませんでした。なので大学のトイレは異次元空間です。男性トイレの便器に未調理のジャガイモがまるまる1個が落ちていたこともありました。

確認します、大学のトイレです。

もうカルチャーショックを通り越して、シュールレアリズムの芸術作品を見ている気分でした。そうは言っても実際に「用を足す」には不向きであることは言うまでもありません。

そういうわけで定期的に掃除の入る大英博物館トイレでコトを済ませていたわけです。掃除をしているのはだいたい移民のおじちゃん・おばちゃんで、顔なじみにもなりました。いつも「お、今日もしにきたか!」とウィンクをしてくれたものです。

近年はセキュリティーチェックを受けねばならず、裏口から扉を開けてスゥーと入ることができなくなってしまったのは、残念でなりません。