イギリスの政治コメディー

イギリスに留学していた時にはテレビはあまり見なかったのですが、DVDはよく見たものです。なにしろ、イギリスのNHKにあたるBBCは、今までのヒットしたドラマやドキュメンタリーをしばしばDVD化し販売してくれるので、youtubeがここまで普及していなかった当時でも、エンタメにこと欠くことはありませんでした。BBCが発売するDVDの中でも、今回お話ししたいのは、あまり知られていないコメディーです。

イギリスではさまざまな事柄をコメディーの題材にしますが、政治も同じです。いや、「イギリスから政治と演劇をとったらなにも残らない」と言われるように政治は恰好の題材なのかもしれません。

ご紹介するのは、Yes, MinisterYes, Prime Minister です。

後者は前者の続編となっていて、前者では行政省(実在しない)の大臣とその事務次官が中心となり、政治家と官僚とがダマシ・ダマサレの丁々発止をおこないます。

もう一人重要なのが、二人の間に立ち両者に忖度のかぎりを尽くす大臣首席秘書官の官僚です。「忖度」(to read other’s implication)といえば近年の日本ではあまり好ましくないニュアンスを含みますが、イギリスではこの首席秘書官こそが本当の政治家であると言われています。

続く Yes, Prime Minister では大臣が首相へ、事務次官が官僚トップの内閣書記官長、大臣首席秘書官が首相首席秘書官へ昇格します。大臣時代は五分五分だった関係は、首相時代になると首相が六分四分で優勢になるのです。

残念ながら日本で放映されたことはないのですが、政治家と官僚との関係性を知る上で、楽しみながら学べる秀逸な番組と言えるでしょう。